「贈り物…ね」
口にくわえた煙草の灰が…知らないうちに、長くなっている。
このままじゃ、喫煙場所以外で吸ったのがバレて、今度こそ校内全面禁煙になってしまう。
のろのろ腕を動かし、携帯灰皿を取り出すと、そこへ煙草を無理矢理押し込んだ。
「そういや、これも…あいつからの贈り物だったか」
使い込んだせいで擦れてきた「禁煙!」の文字だが、あの時は驚かされたな。
昼休み、相談があるとやって来たは、開口一番こう言った。
『あの…プレゼント、なにがいい…かな』
軽く、コンクールで世話になった俺に贈り物か?なんて尋ねりゃ、ここまで苦しまなかったかもしれない。
けれど、何故かあの時の俺は、それが…出来なかった。
自分の都合のいいように解釈するのは簡単だ。
けれど…そんなこと、あるはずはない。
もう、コンクールは終わった。
あいつが困っても、コンクール担当者だった俺に…もう、用はないだろう。
もしも、本当に贈り物がコンクールで世話になった俺宛のものだとしたら、それを受取ることで何かが終わるような気が、したんだ。
『金やん!金やん!!』
「鬱陶しかったはずだがなぁ…」
目を閉じれば、いつも俺の後をついてくるの姿が脳裏に浮かぶ。
「朝も昼も放課後も…授業中も、穴が空きそうなぐらいこっち見て…授業熱心な生徒と褒めるべきか、物好きというべきか」
言葉にすればするほど、ため息が重くなる。
それをはらうように、ポケットの煙草に手を伸ばしたが…もう、中は空だ。
ぐしゃりと握りつぶして、ついさっきまでここにいた女の顔を思いだす。
「いっぱしの…女の顔、見せやがって…」
『あの…プレゼント、なにがいい…かな』
まっすぐな眼差し
震える声に…
かき乱される
何も感じなかった、心が…
ひと回りも下の、少女の声に、表情に…奏でる、音色に
ひゃっほー意味不明♪←自分で言わないで下さい
今までなんとも思わなかったのに、ふとしたことから疑念が渦巻いた感じ。
もしかしたら、好意を持ってるのは他の人じゃないかと思ったら、一気にぐるぐるし始めた…みたいな?
空気というか、雰囲気というか、戸惑いというか…金やんも少しは悩めばいい!(笑)
そんな金やんが大好きです!!
ちなみにヒロインは金やんへのプレゼントを聞こうとしてました。
でも口にしてから、本人に聞くのもどうだろうと思い始め、金やんが濁してくれたことで逆に助かりました(笑)